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テニス肘(外側上顆炎)

機能解剖学からみた治療計画

1979年にNirschlらが上腕骨外側顆炎の詳細な臨床報告を行って以来、【手関節伸筋の反復収縮刺激がもたらす伸筋付着部の微細損傷が発症の原因】というのは未だかわっていません。 しかし、近年の画像診断技術の進歩から、テニス肘を発症する方に多く起こっている現象がいくつかわかってきています。 この科学的発見は、画像診断が行われる前から行なっていた治療方法の根拠として裏付けるものが多いです。 科学的根拠と共に当院で行なっている肘の治療をご紹介します。

手の平を返す動きと痛みの関連

手の平を返す動きは実際には、肘で行われており回内・回外と言います。
実際にテニス肘をされた方の中には、手の平を返す筋力を検査し痛みや力の強さを評価されたことがある方もいらっしゃるかと思います。
なぜかというと、手の平を返す動きを行う回外筋という筋肉の付着部がテニス肘の損傷部分とかなり近いからです。

この回外筋は、「後骨間神経」という指をパーっと反らすための筋肉を支配しています。そのため、手首は動くけど指が動かしづらいという「後骨間神経麻痺」という別の疾患を起こす筋肉と知られています。
なので手の平を返す動きをスムーズにする治療で効果が現れやすいです。

ここまでは昔から知られている一般的なものですが、難治性のテニス肘に多い【手の平を内側に返すことで起こる関節機能障害】というのが研究からわかってきました。

動画で説明したように、肘の回内時(手の平を下にする)は肘の外側の骨(橈骨)が後方に・外方に移動するため、手の平を反らす筋肉を押し出すことになり、微小損傷を起こしやすくしていることがわかってきました。
参考論文:
熊井 司:腱・靭帯付着部の構造と機能ー上腕骨外側上顆炎の理解に必要なenthesis biologyの知識。 整・災外54:5-12,2011

 

橈骨頭の関節モビライゼーション

当院では、
肘を構成する橈骨が外方や後方に変位していればそれを調整し、回内時に異常な橈骨頭の動きをしていればその関節の動きを誘導する関節モビライゼーションを行なっています。

そのほか、肘のロッキングしている方は滑膜ヒダ障害が併発している場合(※2020年現在、滑膜ヒダ説は議論が分かれているところです)もありますし、外側側副靭帯と呼ばれる、橈骨頭を多い、肘の安定支持機構として役立っている靭帯が断裂しているケースもあるようです。
その場合は、整形外科との併用した治療になるかと思いますが、テニス肘で困っている方はぜひ一度ご相談いただけたらと思います。

参考文献:
中川広志ほか:上腕骨外側上顆炎に対する鏡視下手術のための解剖学的検討
新井 猛:テニス肘難治化の病態としての滑膜ヒダ
Nimura A et al:Joint capsule attatchment to the extensor carpi radialis brevis origin
Milz S et al:Molecular composition and pathology of entheses on the medial and lateral epicondyles of the humerus


 

繊細な動きを可能にしているメカニズム

巧緻運動の特別なシステム

リーチと巧緻運動

リーチ
手は、対象物に手を伸ばすと言った動作を行うゆえの特別な脳の神経経路を使っています。
背側経路と腹側経路は、視覚的なものの認知から、自分自身の体と対象物体との距離や形の計測に一役買っています。
自己認知機能の問題や固有感覚の異常によって手の強張りを起こしてしまいます。

神経筋比率による巧緻運動
人間をサルから大きく進化させたと言っても良い手の微細な動きは、筋肉を支配している神経の量によって繊細な動きを可能にしています。
ダイナミックな動きを可能にしている大臀筋や四頭筋のような筋肉には、神経はあまり細かく付着しておらず、筋収縮のコントロールは苦手です。
てのような細かい動きを得意とする筋肉、例えば眼球を支配する筋肉などは手と同じように神経が密に結合しています。

故に手の障害には必ず神経障害が背景に存在しています。

検査・治療・症例報告

Physical Test & Treatment & Case Teport

【症例1:テニス肘 全身の調整が効果を出した例】

肘にストレスをかける可能性は全身にあり

 運動連鎖や力学的ストレス、そのほか筋肉や感覚を司る支配神経が原因となる場合もあり、幅広く見る必要があります。

【肘の障害は手関節に異常を出す場合も】

 手の平を返す動きの障害の代償は手首にも

手の平を返す動きは、肘の関節の運動で完結されていますが、その動きが硬い場合、手首の関節を捻ったり、肩の関節を捻ったりと代償運動を行うため、肘に痛みがなくても手首や肩の痛みにおいて肘の検査を必要とする場合があります。この動画は手関節の検査と治療を紹介しています。

 

随意運動(意識した収縮)の神経学

α-γ収縮連関

自発的筋収縮と反射的筋収縮の神経学


 
筋肉の収縮の神経学では、初動とそのあとの筋収縮では異なったメカニズムで成り立っています。

意識して筋肉を収縮させる場合、
脳の大脳皮質運動野→延髄錐体(ここで多くは左右を交叉します)→外側皮質脊髄路(交叉した成分の経路)そして最終的に筋肉の線維に到達します。
※ちなみに意識して筋肉は弛緩できません。筋肉は収縮という神経システムしか持ち合わせていません。ここもかなり重要な点なのですが、このことに関してはまた別の機会に説明します。

意識的な筋収縮は、脊髄の前角からでたα運動ニューロンによって筋線維(錐外筋)を収縮させます。
筋肉の長さを感知するシステムを持つ筋紡錘(錘内筋)は弛緩し、筋線維を一定の張力にするために筋収縮を抑制してしまいます(Ⅰa線維の求心性刺激の減少)。
すると筋出力が弱くなります。
しかし、随意筋収縮は持続的な収縮を行おうとするため、筋出力が減少しては困ります。
そこでγ運動ニューロンを刺激し、弛緩した筋紡錘を伸張し、筋収縮を強く行えるようにⅠa線維の求心性線維をさらに刺激します。
すると、持続的な筋収縮が可能になるのです。

このγ運動ニューロンには2種類の線維があり、その違いが、抵抗に対する筋収縮と示達的筋収縮の違いです。
筋力テストの方法によってこの2つを区別することができ、治療もそれに合わせた方法を選択していきます。
 

自己抑制作用による筋収縮の調整

外力や強い筋収縮によって筋収縮を抑制させる作用

腱の損傷後に起こる筋力低下はこの機能によるものと国家試験では理解されていましたが実のところ・・・・


 
腱が強く伸張されたり、強い筋収縮が起こると自己の筋肉や腱の損傷を防ぐため、筋収縮を抑制させる作用が存在しています。

普段から肉離れしないようになっているのはこの機能のおかげでもあります。

筋腱移行部に多く存在しているゴルジ腱器官(腱紡錘)と呼ばれる筋収縮を監視している組織があります。
強い筋収縮が行われた際に、その筋肉が損傷されないように腱紡錘にあるⅠb線維が興奮し、抑制性介在ニューロンを介して自己筋を抑制します。
しかし近年では、この作用は安静時にしか生じないとも言われています。

※ここでまた人間の体がとても精密な構造となっているのが、このⅠb線維は常に抑制には働かないことがとても理解に悩むところです。

安静時ではない、覚醒時や運動時では、このⅠb線維は自己筋を興奮させる作用があることが近年わかってきています。
この腱紡錘からのⅠb反射は筋の張力を検知し、実行中の運動を生じさせるために必要な緊張力の不足や過剰分を自動的に調整する役割があると言われています。

ですので、腱紡錘に異常が起こると時には筋出力が低下したり、時には筋緊張が増大したりとかなり厄介になってきます。
 

反応時間も運動には大切

タイミング良い筋収縮によってスムーズな行動が可能に

運動を選択する選択反応時間や運動を予測しているかどうかなど様々な場合に神経機能が関わっています


 
①運動の合図に先行する予告信号の有無
②運動の方向が一定の単純反応時間
③運動の合図とともに運動の方向を決めさせる選択反応時間

運動には、反応時間と言って、様々なタイミングでの筋収縮が必要となり、それぞれの反応時間は脳や神経の伝導経路が異なり、障害に応じて治療の方法やポイントが若干異なってきます。

例えば、パーキンソン病の症状に対する反応時間の研究では、
最大収縮を支持すると収縮の立ち上がりの遅れが見られ、収縮による疲労傾向も見られると言われています。これは片側性パーキンソニズムでは患側のみに見られ中枢性の筋力低下だと言われています。
また筋力低下では、拮抗筋に筋固縮が見られなかったことから、下位運動ニューロンへの相反性抑制は正常に行われていると考えられています。
さらに、筋収縮した筋肉に対して受動的に伸張すると筋放電が増大したため、筋紡錘のインパルス増大が考えられ、α-γ収縮連関の障害と考えられています。

結論から言うと、様々な状況に対して行われる筋肉の活動において、様々な要素が関連し合うため、実際にどう言った状況においてその人の動作に異常が起こっているのかを確認しながら調整を進めていくことが必要となります。
 

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東京都港区芝5−27−5山田ビル503

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JR田町駅 徒歩2分
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再診(2回目以降)9,900円(税込)

再初診(前回から2ヶ月経過した場合):12,100円(税込)
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高校生以下は2000円割引します。

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当院の外観・内観


 

動作分析と機能評価
※オンラインでもできます

①動作分析

スイングフォーム分析(背面、側面、前面の3方向)
※来院が難しければ、スイング動作を撮影した動画をメールやLINE等で送っていただいても結構です。オンラインでも対応致します。

②問診

スイングに対しての要望や悩み、また身体に対しての違和感や不調などの把握。これまでの怪我や手術の経歴(既往歴)など、体質と経過を把握していきます。

③機能評価

フォームの問題点が体の問題なのか、ただの癖なのかを把握するために必要な理学検査を行い、身体の機能評価を行います。
※来院が難しい場合は、こちらが指定する動作をオンラインの環境で行っていただき、その動きに対する動作分析から身体の状態を把握します。

④リハビリテーション・運動療法・治療

機能評価の結果とフォームの問題点を照らし合わせて必要なリハビリテーションを指導します。また施術によって、関節のスムーズな動きを作ったり、神経の足痛を測り、動きにキレを出していきます。
※来院が難しい場合は、オンラインにて必要な運動療法を指導します。
 
全てオンラインにてできますが、一度でも検査・触診・治療を行ったことがあると分析が正確になります。一度来院されることをお勧めします。
 
通院中の方は無料で動作分析を行いますが、通院されていない方は初診時と同じ料金にて対応致します。