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めまい・ふらつきに対する治療

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めまいふらつき・メニエールで悩む方とその治療に携わる方へ

だいぶ昔に脳神経疾患による眼球の麻痺に悩む方の治療をすることがありました。 その患者さんとの出会いは、私が「人はどのようにして世界を認知しているのか」
という「認知神経学」を学び始めた頃でした。

幸運なことに、認知神経学を通して学んだことを治療に実践してみるとみるみる眼球の麻痺は良くなり、2年変わらなかった症状もなんと3ヶ月で完治しました。

学校や医学書で学ぶ「めまいやふらつきの診断学」や「めまいやふらつきの治療」は私のような立場の治療家が接する患者さんに対して、実践的とはあまり言えませんでした。
「ふらつきの原因が病院でも原因がわからない」 「私の目眩は病院では耳の石の問題という診断が降りて経過を見てきたけど、未だ良くならない」 「脳梗塞が見つかって、そのせいでふらつくと言われたのですが、良くなる方法はありませんか?」 人それぞれ異なる性質のめまいやふらつきに対応した治療がどのようにすればできるのか、これまでに多くの研究者が解明してきた脳神経学を使うと、その謎を紐解くことができることがあります。
当院に来院に至る方は、すでに病院での診察を終えている方ですので、
この治療コラムのページでは、一般的なめまいやふらつきの病態ではなく、
当院で行っているめまいやふらつきを抱える患者さんについて
認知神経学的な見方を少し紹介したいと思います。
めまいやふらつき、良くわらない不調で悩む方のお力になれれば幸いです。

参考図書:
カンデル神経科学(メディカル・サイエンス・インターナショナル)
標準生理学(医学書院)
神経心理学(放送大学教育神経機構)
逆さメガネの左右学(ナカニシヤ)
もう1つの視覚(新曜社)
視覚はよみがえる(筑摩選書)
視覚世界の謎に迫る(講談社)
めまいの構造(金原出版)など

 

 
文字を読むというのは特別な神経機能を利用しています。頭痛とめまいで来院され、文字が読みづらいというヒントに治療が前進しました。

 

症例報告

めまいと言ってもふらつきのようなめまい感を感じる方もいます。そのときには左右どちらかに引っ張られている感覚がする、と表現される方が多くいらっしゃいます。回転と横への移動も神経学では異なった反応をします。

 

 
主訴はスポーツ選手の不調、いわゆる”イップス”ですが、視覚とも関連する部分があるのでご紹介します。

側弯症(変形性脊椎症)とふらつき

変形性による側弯症も改善させることはもちろん出来ます。

画像をクリックで症例ページに飛べます

長くにわたるめまいと首の痛み、そして足に力が入らないふらつきを呈する80代の方。
首がスムーズに回るようになり、頭位性と視覚によるめまい感は改善しました。
変形性の腰椎症による坐骨神経障害があり、足に力が入らずふらつきがあり、めまい感を増悪させていましたが、変形は治りませんが、関節の機能障害の部分を改善させることで神経障害とふらつき共に改善し、元気に買い物にも出歩けるようになりました。
 
側弯症の治療コラム

①視覚からみた身体制御の神経学

眼球の水平運動の特殊な神経機構

左(右)に引っ張られるめまい感

内直筋と外直筋の異なる神経支配がキーワード


 
横に引っ張られるようなめまい感」を感じる方に多いのが「 眼球の水平運動の問題」です。
中には、病院で「眼振」を指摘されている方もいるかと思います。

その眼振のメカニズムはかなり多様でここでは、かなり緻密な神経支配をご紹介したいと思います。

左右の目が体の左側と右側にある魚から進化してきた人間は、他の動物たちと同様に、目を外側に動かす筋肉である 外直筋に特殊な神経反射が存在しています。

衝動性眼球運動」と呼ばれる眼球運動の高速な動きは、急に音がした際に目をその方向に動かす際や、本を読むときに文字と文字を高速に飛んで視点を移動する際に使われています。
この衝動性眼球運動のうち、水平な動きに関与する筋肉は主に外直筋によって行われています。
それはおそらく、人以外の目が横についている動物にとって、敵は視野の外側である、後外方から現れるからではないでしょうか。

外直筋は、脳神経のうち 外転神経が支配しており、上斜筋を除く他の外眼筋は 動眼神経が支配しています。
※この上斜筋もめまいにおいてかなり重要ですが、ここでは割愛しておきます。

脳内にある動眼神経核から外転神経核までは距離があり、内側縱束によってつながっていますが、その距離によって外転神経核の単独での機能障害があるようです。

さて、この外転神経核は、水平衝動性眼球運動のスイッチのようなバーストニューロンというのを持っており、さらに、目が凝視している時にのみ活動するオムニポーズニューロンを持っています。
この二つのニューロンによって衝動性眼球運動と視線を高速で動かした後に注視することができます。

水平の動きと垂直の動きは、別の神経回路によって行われており、ここが視覚からくるめまいの複雑さを作り出しているのではないでしょうか。

よく起こるこの筋肉や神経の機能障害は 近眼です。
距離の近いところに焦点を置く場合、人間の目は内直筋を収縮させていわゆる寄り目をします。
解剖学的には輻輳運動と呼びます。

簡単に想像ができるかと思います。
近いものをずっと見てしまえば、この水平性衝動運動を担う外直筋は機能しづらくなり、周辺視野は狭くなります。
衝動性眼球運動は注意と関係があるため、制限されている方向に対する注意が低下します。
スポーツの分野でいえば、広い視野による動体視力が低下します。

さらに近眼に加えて、スマートフォンのようにどちらかの手で操作する場合、その手の方に目は移動します。
つまり片目は内直筋を強く収縮させ、もう一方は外直筋を収縮させ続けます。

さてこの後に正常に水平性眼球運動は行えるでしょうか。

ターゲットを追従する滑動性追従眼球運動についての細かい説明は今回割愛します。
 

視線の移動には、頭部と眼球の協調運動が必要

視線を移動する距離に応じた頭部の運動と速度調整

首の問題が視線に及ぼす影響


 
先ほどの説明は、頭部が静止した状態での眼球運動についてでしたが、実際には目標物に目を向けるには、頭部と眼球の運動が強調している必要があります。

頭部は眼球よりも大きいため、 視線が先行して動き、その後すぐに頭部が運動を始めます。
頭部の動きに合わせて視線は 前庭動眼反射と呼ばれる頭動きに合わせた眼球運動の補正が入ります。

視線が大きく移動する時には、眼球と頭部は同時に同じ方向に動きます。
視線が終わる頃に、前庭動眼反射がを行い、頭部の動きを代償して視線を安定させます。

眼球運動信号を持つ脳の上丘ニューロンは、首の筋肉を動かす網様体ニューロンにも投射しており、これによって興味の対象に目を向けるための眼球と頭部の協調運動を可能にしています。

簡単に想像はできるでしょう。
もし首を思うように動かせなかったら、眼球運動も自由に動かせるでしょうか?

ちなみに寝違えた時に動かない首の方向へ眼球を動かすのを繰り返すと多少、首の動きが改善します。
これも眼球と首の動きが相互に作用し合っている証拠でもあります。

首の筋肉には、筋紡錘と呼ばれる筋肉の張力を感知するセンサーが付いていますが、眼球を動かす外眼筋には筋紡錘はないと言われています。

この筋紡錘の異常はごく普通に起こるため、首の筋肉の異常があり、外眼筋の疲労などにより動きが悪い場合、正常な反応が行えるでしょうか?

首の動きと眼球の動きを検査していくことで、よくわからないめまいやふらつきも、少しずつ解明し、治療を前に進ませることができます。

前庭動眼反射については、次の「平衡感覚から見た神経機構」で細かく説明いたします。

この首の筋肉と眼球運動については面白い研究がいくつもあり、
首の筋肉に対して振動刺激を与えると(振動を与えた筋肉は収縮したという錯覚が起こることを利用した研究) 視界が歪むという研究もあります。

めまいの中には、世界が回るだったり歪む、という表現をされる患者さんがいますが、その歪み方や周り方の聴取は頸椎や眼球運動に対してどの方向へのアプローチが必要なのかを分析するとても必要な情報となります。
 

②平衡感覚からみた身体制御の神経学

前庭性シグナルの苦手な動き

傾きと平行移動の違いを区別できない

ポイント:耳石器からの情報は直線加速度と重力加速度を区別できない


 
平衡感覚を司る前庭受容器からの入力は、その器官の特質上、得意な情報認識と不得意な情報認識があります。

例えば、耳石器による直線運動による直線加速度と重力加速度を区別することができません。
というのは、上記の図にあるように有毛細胞の上に乗っている耳石が重力や身体の直線運動に対して移動し、その移動方向による有毛細胞の興奮によって直線加速度を感知できます。

この直線方向はあくまで頭が移動した方向と速さを感知しているので、体が傾いたことによる移動と、並行に移動した情報に対しての認識を受け取ることができません。

そのため、脳は、半規管や耳石器、そして四角形や体性感覚系からの入力を統合して、頭部と身体の動きを正しく解釈することができます。

さて、ここでめまいやふらつきについて想像してみましょう。
体性感覚からの入力として重要な首の状態が悪く、頸椎に付いている筋肉の筋紡錘からの情報が間違って送られている場合、頭が傾いている情報がうまく伝わらなかったとします。

眼球の滑車筋などの外眼筋によって補正されているため、視界は保てています。
そこに股関節の問題が加わり、歩いているときに、体を揺さぶって歩いているとします。
ただでさ、頭の傾きに対して、正しい情報認識ができていないのに、外眼筋による補正ができる範疇を超えてある方向へ頭が傾いてしまう場合、視界が傾きます。

この場合、どこを治すことが重要でしょうか?
 

前庭動眼反射による視界の安定

歩行時や立ち上がり時、頭が動いても視界が歪まないのはこの機能のおかげ

三半規管によって水平・垂直方向の頭部の動きに対しての情報をキャッチし眼球が補正する


 
本を読んでいて、ゆっくり頭を動かしても文章は読めますが、同じスピードで本を動かすと読むことがかなり難しくなります。
これは頭が動いたこと情報をもとに眼球が補正して視界を安定させるためにできています。この反射を 前庭動眼反射と呼びます。

この前庭動眼反射は、運動系の変化(疲労、前庭器官の障害、眼筋の筋力低下、加齢)や異なる視覚的要請(矯正メガネの装着)に対して、正確さを保てるように絶えず較正される必要があります。

※確かにめまいで来院される方の中には、メガネを変えてからや、職場の変化例えば、デスクトップパソコンからタブレットでの対応に変わってから、そんな変化の後にめまいを起こしている方が多いのもこの影響だと思います。

遠近両用眼鏡のように、視覚対象物が拡大されたり縮小されたりする状態に合わせて、眼球で起こる補正する動きは少なく済んだり、大きく行わなければならなかったりと変化するのに合わせて対応が必要になることは想像できるかと思います。

この変化は適応学習と呼ばれる記憶とも関連するため、小脳および脳幹で行われています。

脳神経については割愛させていただきますが、先ほどの説明でもあったように常に情報を一新して安定させている前庭動眼反射も眼球や首の問題で簡単に補正ができなくなるケースがあります。

例えば、遠くをみている場合、自分が動いても遠くなるもの自体はほとんど動かないため、眼球の補正はほとんど必要がありませんが、目の前にあるものをみている場合、自分の体が動くと対象物は大きく移動します。
この大きい移動分だけ眼球の補正が必要になり、外眼筋に要請される収縮も大きくなります。
つまり外眼筋の収縮不全がある場合、近いものを見ているときに焦点が合わせ続け辛くなってしまいます。
 

③姿勢制御からみた身体制御の神経学

現在まとめ中。
少々お待ちください

臨床ブログ
出産児のストレスは子供の成長に影響を与えます。
臨床ブログ
足の痙攣(不随意運動)による歩行障害
臨床ブログ
顎関節や視覚によるめまい感
臨床ブログ
姿勢制御メカニズムによるめまい感

Point

多角的視点のポイント

視覚と歩行障害の神経学

めまい=耳の平衡感覚の問題
と捉えている方が非常に多く、メニエールと診断されてしまえば、耳の問題と結論づけてしまいがちです。

メニエールと診断されていても、隠れている病態として多いのが【眼球運動の機能障害】です。

脳は、平衡感覚の情報を常時受け取っており、その情報に合わせて眼球運動の補正や手足の運動による補正を行なっています。

眼球運動が障害されていれば、補正がうまくいかず "めまい感" を覚えます。
眼球運動の検査を行い、眼球によるめまいの要素を取り除いていきます。

もちろんほとんどの方が眼振をチェックされるでしょう。そして中には、全く問題ないという結果ももらっている方もいると思います。
しかし病的な眼振と病的とは言えない程度の眼振があります。
病的とは言えない程度の眼振や、眼振はないけれども、眼球の機能障害があり、改善できる症状です。

スマートフォンの普及によって、今後さらに原因不明の歩行障害やめまい、もしくはめまい疾患に加えて症状を増強している視覚的めまいは増えてくるでしょう。

また視覚=眼球運動以外に、視覚は視野という考え方もあり、視野障害によるめまいもあります。
緑内障などの視野障害が起こる疾患がある方も、疾患がない方でも視野障害は起こります。
その原因の多くに【効き目】があります。
両眼立体視という、顔の前方にある2つの目で世界を見る能力が人間にはありますが、何らかの影響で片目の焦点が合わない場合、そちら側の視野はぼやけてしまいます。
そう言った視野の左右差によるめまい感もあります。

【めまい】と【めまい感】という言葉の違いを少しわかっていただけたでしょうか?
めまいは疾患として認められていますが、めまい感は原因不明と言われやすいものといったところでしょうか。

 

歩行運動のための運動パターンに脳は必要ない

歩行障害=脳障害とすぐに結びつけがちですが、歩行の最小単位は脊髄にあります。

20世紀初頭に歩行の神経制御メカニズムの研究がたくさん行われてきました。
それらの研究から得た4つの結論を紹介します。

1:脊髄より上位の神経中枢からの指令は、歩行障害の基本的な筋活動パターンの形成には必須ではない
2:歩行運動の際の基本的な律動的筋活動パターンは脊髄に局在した神経回路によって形成される。
3:この脊髄の神経回路は、脳からの下行性の持続的な信号によって調節される。
4:筋活動パターンを形成する脊髄神経回路の活動には、感覚入力を必要としない一方、足の固有受容器からの入力に強く調節される。

※もちろん歩行障害が出た際には、まずは脳障害を疑って病院を真っ先に受診してください。

例えば、脳梗塞後の後遺症(片麻痺)による歩行障害がある方も腰に異常をきたすと、歩行障害がかなり悪化します。
腰や股関節を調整すると片麻痺の程度も軽減しますので、腰が悪いと麻痺も強くなり、歩行はかなり制限されてしまいます。

その他にも、足が痙攣したり、足の力がガクッと抜けて歩行が困難だった方がこれまでにもいましたが、脊椎の調整で改善した例はこれまでにかなり多くあります。

脊椎を調整しながら足のリズミカルな運動ができるようになるかを確認して治療を進めていきます。

 

そもそもの行動とは何かを神経学的に捉える

歩行は移動運動(locomotion)ですが、その移動には目的がある場合と自律的な運動の場合があります。

「律動的に手足を動かし進む」前に意図(意志)があり、どこかへ向かう、到達するために歩く行動という側面があります。

その到達運動には、視覚的に距離や方向を捉える認知システムから始まり、自分の手足の状況からどれくらい手足を動かせば到達できるのか計算をし、実際に動きながら随時計算を続ける、といった段階的な役割があります。

それらは運動機能という側面以外に認知機能というのが非常に重要になってきます。

認知機能の中には、外的情報と呼ばれる距離や障害物の把握以外に、自分自身の状態を知る内的情報があります。
その内的情報は極々当たり前の腰痛や肩こりでも認知機能に問題を起こすため、鞭打ちなどのような強い衝撃を受けたり、スイカ割りのような同じ方向への繰り返す刺激などによって簡単にズレを生じさせます。

外的環境と内的環境の認知のズレを探し改善させることで歩行障害も改善することがあります。

ごく簡単な例をご紹介すると、正座の後に足が痺れた状態で歩こうとすると歩けず転倒するように、自分の足の感覚が薄れるだけでも歩こうとする行為と実際の体にギャップば生まれ、軽度の場合はめまい感やなんか思うように歩けない、みたいな症状となります。

 

Price

料金

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東京都港区芝5−27−5山田ビル503

最寄駅

JR田町駅 徒歩2分
都営地下鉄三田駅 A3出口 徒歩1分

料金

初診:13,200円(税込)

再診(2回目以降)9,900円(税込)

再初診(前回から2ヶ月経過した場合):12,100円(税込)
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休み

日・祝 休み
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